全人代開幕:中国を代表する起業家達がブロックチェーンについて言及


現在、中国の国会に相当する「両会」が北京で行われている。「両会」とは「全国政治協商会議」と「全国人民代表大会(全人代)」のことであり、全国政協は3月3日に開幕し、全人代は5日に開幕した。
両会が開幕する前日の3月2日、ドキュメンタリー映画「厉害了,我的国(素晴らしき、我が国)」の上映がスタートした。上映からたった3時間で中国ドキュメンタリー映画の興行収入の記録を破り、上映あたりの人数と出席率でも過去新記録を更新した。
映画では建設、航空、製造など様々な方面の技術発展について紹介し、インターネットについても言及があった。その中でも「ブロックチェーン」という単語は最も頻繁に登場し、いかに中国がブロックチェーンに対して高い関心を集めているかがうかがえた。
以下では、中国を代表する起業家達の両会でのブロックチェーンに関する発言から、未来のブロックチェーンの展望をみていく。
小米(シャオミ)CEO 雷军
雷军は全国政協で、
政府は5G、クラウドコンピューティング、AI、AR/VR、ブロックチェーンなどの技術を医療福祉に生かし、健康と医療の新しい需要を満たす必要がある。
と発言した。他にも「航空宇宙産業を発展させるための技術向上」と「情報アクセシビリティ強化」についても提起した。
百度(バイドゥ)CEO 李彦宏
バイドゥの創始者でありCEOの李彦宏は
ブロックチェーン技術は非常に革新的だがまだ発展の初期段階にある。コピーにもオリジナルの価値を与えるブロックチェーンは、従来のインターネットと全く異なるものだ。
として、ブロックチェーンの可能性に言及した。
テンセントCEO 马化腾(ポニー・マー)
ブロックチェーンは今非常に盛り上がっているテーマだ。従来のインターネットと比較してもブロックチェーンは非常に革新的な技術だが、どのように応用するか、応用しやすいかはまた別の話だ。現在仮想通貨は非常にホットだが、テンセントがオリジナルのコインを発行することは検討していない。
奇虎360 周鴻禕
現在ブロックチェーンは非常にホットな技術で応用できない領域はないが、唯一懸念があるとすればビットコインだろう。ビットコイン台帳は改ざんが不可能だが、51%攻撃が可能な計算能力を誰かが得たとき、あるいはハッシュアルゴリズムがクラッシュするとき、それはブロックチェーン技術の大きな挑戦となる。これまで多くの取引所で仮想通貨の損失事件が起きており、さらなるセキュリティ強化が必要だ。
奇虎360
中国で最も普及しているセキュリティソフトを開発するIT企業。
网易(ネットイース)創始者 丁磊
ブロックチェーンはあくまでひとつの技術であり、この技術自体に問題はなく、様々な領域に応用できる。政府はブロックチェーンという名前に注目するのではなく、応用と紐づけて支援していくべきだ。
网易(ネットイース)
「荒野行動」などを開発した中国2位のゲーム企業(1位はテンセント)。バイドゥに並ぶ中国の四大ポータルサイト「網易」を運営している。
58.com CEO 姚劲波
現在ブロックチェーンは投機的な仮想通貨にばかり注目が集まっているが、通貨に加えて本当にいいビジネスが生まれることを願っている。
58.com
中国圧倒的シェアのクラシファイド広告サービスを運営。クラシファイドとは目的・地域によってカテゴリ分けされた広告のこと。
多くの起業家がブロックチェーンの応用の重要性を強調した。
バイドゥ、アリババなどがブロックチェーンプラットフォームの開発でしのぎを削っていることからも、ブロックチェーンの企業レベルでの実用化が促進される年になりそうだ。