テンセントが推し進めるブロックチェーン事業

あるブロックチェーン事業のスタートアップCEOは悩んでいた。

市場を牛耳るのはやはりBATではないか?結局、資金や人材は彼らの手中にある。

いうまでもなく、テンセントは中国を代表するインターネット企業だ。しかしブロックチェーンに対しては、まるでジャングルで獲物が来るの待って潜んでいる獣のようであり、強い野望は示していない。

多くのブロックチェーン系スタートアップは、中央集権的な強い力を持つBATのような巨人たちは、非中央集権がコンセプトのブロックチェーン事業を行うことは自己矛盾になり、成功できないと考えていた。

しかし現在、ブロックチェーン業界は彼らの考えとは全く異なる結果となっている。

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今年3月、テンセント・ブロックチェーンの代表である蔡弋戈は講演で、

不管黑猫白猫,能抓耗子就是好猫。(黒猫にしろ、白猫にしろ、ネズミを捉えるのがいい猫だ。)

と発言した。これは改革開放政策で資本主義経済を取り入た際の、鄧小平(とうしょうへい)の言葉で、「制度にとらわれず、国が豊かになることは積極的に試す」という意味が込められている。

テンセントのような巨大なIT企業にとっては、「ブロックチェーンの普及」自体は自らの命に全く重要ではないのだ。では、重要なのは何か?重要なのはトレンドを掴んで、常に先端でいることだ。

ToBに注力

テンセント・ブロックチェーンが大きく注目を浴びたのは2018年8月だ。

2018年8月10日、国家税務総局の指導のもと、深セン税務局とテンセントが協力し、国際貿易ロータリーの食堂で国内初のブロックチェーン電子請求書が発行された。

このニュースはすぐにモーメンツ(WeChat)でシェアされウェイボ(微博)のホットニュースになった。

なぜこんなにも注目を集めたのだろうか。それは、企業だけでなくすべての個人が関わる問題であり、中国の税務サービスが正式にブロックチェーン時代を迎えたことを示したニュースだからだ。

その後も電子請求の応用範囲は拡大し、金融サービスや公共交通機関の決算にも広がっている。

Tencentが提供するデータによると、昨年の終わりから今年3月の終わりまでの期間で、総額15億の請求書と1,500を超える登録企業を含む150万件の請求書が累積されている。

テンセントのブロックチェーンが飛躍したのは2018年だったが、同社は実は2015年にブロックチェーンチームを設立している。
2004年にテンセントに入社した蔡(ツァイ)は社内で選抜したエンジニアを教育し、2016年に基盤技術の開発をスタートした。

2016年8月、テンセントの金融クラウドはブロックチェーン技術を積極的に調査中と公表したが、実際はテンセント内部でテンセント・ブロックチェーンはそれほど重視されていなかった。

しかし2017年、世界中で「ブロックチェーン時代」が訪れると、テンセント・ブロックチェーンのR&Dの進捗はやっと加速し始めた。

2017年4月、テンセントは公式に発表したブロックチェーンプログラムに関するホワイトペーパーのなかで、「オープンシェアリング」の概念に基づいて、内部施設と機能をパートナーと共有し、ウィンウィンなブロックチェーンエコシステムを生み出すと公言した。

2017年11月にはBaaSプラットフォームを立ち上げた。テンセントのブロックチェーンの価値は主に2Bビジネスの拡張であり企業向けブロックチェーンプラットフォームの応用領域は主に金融だ。

ToB以外にも拡大

2018年になってはじめて、テンセントの金融企業向重視のブロックチェーンが別領域に入る段階を迎える。

2018年4月、西柳州で国内初となる、病院内で処方箋を処方し病院外で薬を購入する「医院外処方転送」サービスを成功させた。

処方箋の流通には病院、薬局、製薬会社などさまざまな関係者がいるが、テンセントブロックチェーンの活用によって、改ざん不可能なシステムで処方が実現された。

医療分野以外にも、テンセントのARゲーム《一起来捉妖(一緒にモンスターを捕らえろ)》において、テンセントブロックチェーンが活用されている。

現時点でテンセントブロックチェーンは、電子請求書、福祉、サプライチェーンファイナンス、ゲーム、医療などの分野で実装されている。

テンセントブロックチェーンの強み

一流のIT企業がブロックチェーン領域に取り組むことのメリットは、技術力、安全性、そして実現性にある。

技術力の側面で言えば、テンセントのブロックチェーン分野の特許数は47件だ(特許数1位のアリババは90件)。安全性の面では、テンセントブロックチェーンは2018年の信頼された商品ランキングのブロックチェーン部門で一位を獲得している。

巨大な施設と資源があるだけでなく、提携企業を探すのも容易なテンセントならば、ブロックチェーンを社会実装する難易度も比較的小さい。

ここに中小企業が割り込むには、革新とスピードで勝負するしかない。


記事ソース:腾讯押注区块链